2026.05.21 リサーチ

四国4県の生成AI活用率が2倍に─2026年版ビジネス活用調査レポート(前年比較付き)

はじめに

昨年(2025年5月)に公開した「四国エリア 生成AIのビジネス活用調査レポート」は、多くの方にお読みいただきました。あれから1年。ChatGPTの利用者数はさらに伸び、GeminiやCopilotも存在感を増しています。「使い始めた」という声が増えた一方で、「うちはまだ…」という企業も少なくありません。

オーシャンズでは2026年5月、四国4県(徳島・香川・愛媛・高知)の就業者228名を対象に、同テーマの継続調査を実施しました。本稿では前年調査(n=321)との比較を軸に、この1年間で四国の生成AI活用がどう変化したのかをファクトベースで整理します。

調査概要

  • 調査期間:2026年5月18日・19日
  • 方法:インターネットアンケート
  • 有効回答数:228(20〜64歳の就業者)
  • 対象地域:徳島・香川・愛媛・高知の4県
  • 主な設問:利用頻度/利用ツール/活用タスク/課題・懸念/AIエージェント認知/社内ルール整備/情報収集チャネル/業務有用性認識

※前年(2025年5月)はn=321。サンプル数・属性構成に差があるため、%ベースの比較には一定の幅を持ってお読みください。

生成AIの利用率:21%→39%、「5人に2人」が定期利用

前年調査では、定期的利用者(毎日+週数回+月数回)は21.2%、未使用者は70.7%でした。今年はこの構造が大きく変わっています。

  • 定期的利用者:21.2% → 39.0%(+17.8pt)
  • 未使用者:70.7% → 48.2%(−22.5pt)

特に「週に数回」が6.9%→18.0%と約2.6倍に伸びており、「たまに触る」から「日常的に使う」への移行が進んでいます。1年前は「触っているのは5人に1人」でしたが、今年は「5人に2人」。四国における生成AI活用は、黎明期から普及初期へフェーズが変わったと言えます。

利用ツール比較:ChatGPT・Gemini・Copilotが軒並み倍増

利用ツールの上位構成は前年と変わらずChatGPTがトップですが、各ツールとも利用率が大幅に伸びています。

ツール 2025年 2026年 変化
ChatGPT 19.9% 32.9% +13.0pt
Gemini 6.5% 15.4% +8.9pt
Copilot 5.9% 12.7% +6.8pt
Claude 1.9% 3.1% +1.2pt
利用していない 71.0% 52.2% −18.8pt

ChatGPTが依然として「入口のツール」であることに変わりはありませんが、Geminiが15.4%と3倍近くに伸びた点は注目です。Google Workspaceとの連携を通じて、業務環境に自然に溶け込む形で普及が進んでいると推測されます。

一方、XなどのSNSではClaude CodeやGrokといったAIツールが話題になっていますが、四国の就業者レベルではClaude 3.1%、Grokはごく少数にとどまっています。ネット上の盛り上がりと、地方の業務現場での浸透度には、まだ大きなギャップがあることがうかがえます。

県別の生成AI活用率:愛媛42%でトップ、4県すべて30%超

前年は香川県が24.0%でトップでしたが、今年は全県が30%を超え、順位にも変動がありました。

2025年 2026年 変化
愛媛 19.0% 42.0% +23.0pt
香川 24.0% 40.0% +16.0pt
徳島 21.4% 37.2% +15.8pt
高知 20.9% 32.4% +11.5pt

前年最下位だった愛媛が+23.0ptの最大伸び幅でトップに浮上しています。4県すべてで活用率が2倍前後に伸びており、四国全域で普及が進んでいることが確認できます。ただし高知は伸び幅がやや小さく、他県との差が広がりつつある点は今後の注視ポイントです。

生成AIの活用タスク:文章作成32%がトップ、半数はまだ未着手

今年は設問設計を見直し、昨年の「業務分野」ベースから「具体的な業務タスク」ベースに変更しました。直接の前年比較はできませんが、文書系タスクが最もニーズが高い傾向は共通しています。

  • 文章の作成・要約・校正:32.0%(報告書、メール、議事録など)
  • 情報収集・リサーチ:20.6%
  • データの集計・分析・グラフ化:13.2%

一方で 「特にない/わからない」が50.0% と半数を占めており、利用が広がった層とまだイメージが持てていない層の二極化が見て取れます。

生成AI導入の課題:知見不足50%、セキュリティ懸念が急伸

課題・懸念の選択肢は前年と同一のため、完全な前年比較が可能です。

課題 2025年 2026年 変化
知見不足 46.7% 49.6% +2.9pt
セキュリティ 16.8% 27.6% +10.8pt
品質・精度不安 12.8% 18.4% +5.6pt
コスト 15.0% 14.9% −0.1pt
ガバナンス未整備 10.3% 14.0% +3.7pt

「知見不足」は前年同様に最大の課題ですが、注目すべきはセキュリティ懸念の急伸(+10.8pt)です。利用者が増えたことで、情報漏えいリスクが「想像上の心配」から「実務上の課題」に変わりつつあると読み取れます。

利用頻度別にクロス集計すると、課題の質が明確に異なります。

  • 毎日利用者の課題:セキュリティ42.9%、コスト38.1%、ROI測定33.3% → 運用段階の実務課題
  • 未使用者の課題:知見不足60.9%、セキュリティ19.1%、コスト8.2% → 入口段階の知識不足

「使っていない人は入口の壁、使っている人は運用の壁」という課題の二層構造が浮き彫りになりました。

AIエージェント認知度と社内ルール整備の実態

今年の調査では、AIエージェントの認知度と社内ガバナンスの整備状況についても新たに聞いています。

AIエージェントの認知度

  • 今回初めて知った:47.8%
  • 言葉は聞いたことがある:25.4%
  • 内容を理解しているが未利用:18.9%
  • 業務で利用中:7.9%

約半数が「初めて知った」と回答しており、AIエージェントの認知はまだ黎明期です。一方、毎日利用者の42.9%が「業務で利用中」と回答しており、利用頻度と認知度は強く連動しています。

社内ルール・ガイドラインの整備状況

  • わからない:47.4%
  • 個人判断に任されている:22.8%
  • 一部の部署で独自ルール:11.8%
  • 全社ルールが策定・運用されている:10.5%

全社的なルールが整備されているのはわずか10.5%。「わからない」が最多という結果は、組織として方針を示せていない──あるいは示していても現場に届いていない可能性を示唆しています。利用者が39%に拡大している中で、組織としてのガバナンス整備が追いついていない構造が浮き彫りになりました。

まとめ:四国の生成AI活用、1年間で起きた3つの構造変化

① 利用は進んだが、組織としての対応は追いついていない

定期的利用者は21.2%→39.0%に拡大した一方、社内ルール整備済みは10.5%にとどまり、知見不足は49.6%で依然最大の課題。利用の拡大スピードに対して、組織としてのガバナンス整備が遅れています。

② 課題の質が変わった:「知らない」から「使う上でのリスク」へ

セキュリティ懸念が16.8%→27.6%、品質不安が12.8%→18.4%に上昇。利用者が増えたことで、実際に業務で使う中でのリスクが実感として顕在化しています。

③ 使う人と使わない人の二極化が鮮明になっている

毎日利用者の85.7%がChatGPTを利用し、42.9%がAIエージェントを業務で使用。一方、未使用者の99.1%がツール未利用で、85.5%が情報収集すらしていない。利用・認知・情報行動のすべてにおいて、両者の断絶が拡大しています。


私たちオーシャンズも、四国で事業を営む一社として同じ課題に向き合っています。「使っている人の知見を、まだ使っていない人にどう届けるか」「組織としてのルールをどう整えるか」──この調査データが、その議論のきっかけになればうれしく思います。

オーシャンズでは、ネット調査やインタビュー調査を通じて得たデータを基に、戦略立案から施策実行まで一気通貫でマーケティング支援を行っています。詳しくはこちらのサービスページをご覧ください。

この記事を書いた人

礒崎 将一#代表取締役
#デジタルマーケター

上流の戦略設計からアクセス解析までを得意とし、総合・ネット広告代理店での経験を活かしデジタル・オフライン広告双方に精通。特に金融業界での支援実績と深い知見を持つ。多角的なアプローチで企業の課題を解決し、成長をサポートする。

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