オーシャンズWebサイトリニューアルの裏側
はじめに
このコラムは、私たちオーシャンズがデジタルマーケティングについて「もっと中小企業の皆さまのお役に立てる情報を届けたい」という思いからスタートした連載の第1回です。
今回はその最初のテーマとして、私たち自身が取り組んだWebサイトのリニューアルについてご紹介します。
ただ見た目を新しくするだけではなく、
「誰に、何を、どう伝えるか?」をしっかり考えながら、言葉そのものを見直すプロジェクトでした。
“伝わる言葉”をどうやってつくっていったのか、その過程を少しだけ、共有させてください。
まずは、私たちの“想い”を再確認
最初に立ち返ったのは、オーシャンズの「ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)」。
●ミッション
人の心を動かすマーケティングで、中小企業と地域社会を盛り上げる
●ビジョン
地方活性化をさせる、熱意と思いやりを持ったマーケティングプロフェッショナル集団
●バリュー
・ 真・善・美(正しいこと・善いこと・美しいこと)の精神を貫く。
・ 粘り強く最後まであきらめない。
・ 成果の不調から逃げない
・ 新しいことへの挑戦を恐れず楽しむ。
・ 相手の期待値を上回るスピードとホスピタリティを提供する。
・ 相手の不義理には寛容であれ。自分の価値を押し付けない。
次に「どんな企業をサポートしたいのか?」をあらためて整理しました。
私たちは「地方には優れたサービスや商品があるにもかかわらず、マーケティングの人材やパートナーが不足しているために、それを届けきれていない現状を解決したい」という思いで活動しています。
つまり、私たちの一番に支援したいのは「(デジタルの力で前に進みたいと考える)地方の中小企業」です。
「だったら、地方の中小企業の人たちにちゃんと届く言葉を見つけよう!」
というのが、リニューアルの出発点でした。
ミッション=キャッチコピーでいいんじゃない?…と思ったけど
最初は「人の心を動かすマーケティングで…」というミッションを、そのままキャッチコピーに使おうかと思っていたんです。
なぜなら私たちの活動目的を端的に表現した言葉だったから。
でも、外部の制作パートナーさんにこう言われました。
「ちょっと抽象的すぎるかも」
「オーシャンズにお願いすると、何をしてくれるのか見えてこない」
たしかに…。
社内向けの旗印と顧客に響くメッセージは必ずしも一致しない、という当たり前の事実に気づき、キャッチコピーの表現について立ち返ることになりました。
チーム総出のコピー大喜利
そこで、「じゃあどうする?」と始まったのが、全メンバーによる“コピー大喜利”。
ユーザーの目線に立って、いろんなキャッチコピー案を出し合い、それを訴求要素ごとにカテゴライズしてみました。

すると、自然と浮かび上がってきたのが以下のようなキーワード。
- 「熱意と誠実さ」
- 「成果へのこだわり」
- 「課題解決力」
- 「顧客理解」
- 「地方企業への貢献」
どれも私たちが大切にしてきたことばかり。
でも、「どこに一番フォーカスすべきか?」という点では、まだピンとくる確信までは持てていませんでした。
そこで、まず「お客さまの声」を聞いてみた
キャッチコピーやサイトの構成を考えるにあたって、実施したのがネット調査です。 「そもそも、マーケティング支援会社に何を求めているのか?」を、お客さま自身に聞いてみようと考えました。
調査の対象は、全国の30代以上の中小企業の経営者・役員・管理職の方々。
274人の方にアンケートに協力頂きました。

最初の質問の「広告、マーケティング支援会社やコンサル会社を選定する際、以下の要素のうち、特に重視するものをお選びください(複数選択可)」に対して、最も回答が多かったのが、「誠実で信頼できる対応、信頼できるパートナーシップ」という要素でした。

次に、「Q1の要素の中で、特に重要だと思うものは?」という問いに対しては、「誠実で信頼できる対応、信頼できるパートナーシップ」ではなく、
→「顧客視点での提案やサポート」
→「期待以上の成果を出してくれること」
→「100%以上の付加価値の提供」
という別の要素が多かったのです。

この結果に対して、「なるほど…」と思うと同時に、あることに気づいたんです。
「誠実さ」は、お客さまにとって“あって当然”の前提条件。ということです。
ユーザーにとって「誠実さ」は当たり前の前提条件だから最も多くの支持を得られるが、どれか1つを選べと言われると別の要素が選ばれるのです。
私たちはずっと、「本当の意味で誠実に対応することこそが強みだ!」と胸を張っていたのですが、 実はそれだけでは選ばれる理由にならないんですね(笑)。
データで見えた、言葉の反応
続いて、社内で考えたキャッチコピー候補8本を提示し、どれに共感するか選んでもらいました。Q1とQ2同様に、最初に複数選択可として、共感するコピー全て選んでもらい、次に最も共感するコピーを1つだけ選んでもらうようにしました。

最も支持が多かったコピーは、「100%以上の価値を届ける。」が最多得票を獲得。

さらに単一選択で絞っても「100%以上の価値を届ける。」が最多でした。
この結果からユーザーの多くは「100%以上」という定量的且つ、機能的価値が分かりやすいコピーに魅力を感じる傾向があると分析しました。
もう1つの気づきは「熱意と思考のすべてを注ぎ、常識を超えた支援。」という情緒的な訴求コピーです。
このコピーは、Q3では8個中6位でしたが、Q4では2位まで浮上しました。
この結果から、どちらか一方ではなく、機能的価値と感情的信頼の両面が伝わる言葉が選ばれていることがわかりました。
「POP/POD/POF」フレームで考える伝えるべき“価値”
調査結果をもとに、「どういう価値をどう伝えるべきか?」を整理するために活用したのが「POP/POD/POF」というフレームです。
ちょっと専門っぽい言葉ですが、実はとってもシンプルな考え方なんです。
● POP(Point of Parity)
最低限の選ばれる要素。「あって当然」と思われているもの。
調査で出てきた「誠実な対応」が、まさにPOPに当たります。
POPは、ないとマイナス評価だけど、あるだけでは選ばれない条件なんですね。
● POD(Point of Difference)
「他とは違う、自社だけの強み」
たとえば、オーシャンズが得意とする「課題を見抜く力」や「期待以上の付加価値を提供する姿勢」。
こうした違いを打ち出すことで、「ここに頼みたい」と思ってもらえる理由になります。
● POF(Point of Failure)
「自社が満たすことができない他社が選ばれる理由”」
POFとはちょっと耳が痛いかもしれませんが、競合と比べて劣っている部分や、お客さまにとってマイナスに映る要素のことです。
たとえば「スピード感がない」「提案がいつも的外れ」など、ユーザーに“選ばれない理由”となってしまう要素がここに当たります。

今回の調査で整理できたのは、我々が強みだと考えていた要素は、実はユーザーにとっては、POPなのか、PODなのかという理解です。
そして完成した、私たちのキャッチコピー
そして調査結果とフレームでの整理をふまえて最終的に完成したのが、
「熱意と思考のすべてを注ぎ、100%以上の価値を届ける。」というコピーです。
今回のWebサイトリニューアルを通じて感じたのは、
“伝えたいこと”と“伝わること”は、必ずしも同じじゃないということ。
だからこそ、
- ユーザーの声を聞く
- フレームを使って価値を整理する
- データをもとに検証する
というステップが、とても大事だと実感しました。
「うちの強みってなんだろう?」「お客さんにちゃんと伝わってるのかな…?」
そう感じている方は、まず“聞くこと”から始めてみませんか?
私たちオーシャンズは、貴社の想いを「伝わる言葉」に変えるお手伝いをしています。
自社の訴求をどうしたら良いか困ったら、ぜひ一度オーシャンズまでご相談ください。

礒崎 将一#代表取締役
#デジタルマーケター
上流の戦略設計からアクセス解析までを得意とし、総合・ネット広告代理店での経験を活かしデジタル・オフライン広告双方に精通。特に金融業界での支援実績と深い知見を持つ。多角的なアプローチで企業の課題を解決し、成長をサポートする。